三毛別ヒグマ事件と「蜜蜂乱舞」
11月に珍しく大雪が降ったかと思えば、
暖かい日が続き、十勝ではだいぶ雪が溶けてきました。
ナルセ養蜂場のヨメです。
このところテレビなどでよく話題になっているのが
ちょうど100年前の1915年12月におきた、三毛別のヒグマ事件。
一頭の巨大なヒグマが開拓村を襲った事件です。
私がこの事件を知ったのは、
数年前に吉村昭さんの小説「熊嵐」を読んでから。
(写真はAmazonから拝借)
もー、熊は怖いし、
開拓村の、すきま風どころかビュービュー風が吹き込みそうな家が
寒そうで寒そうで寒そうで。
小説の中では六線沢(事件の起こった村)は開拓村の中でも
貧しい村となっていて、開拓民の生活ぶりが印象に残っています。
映画のような展開に、緊張しながら一気に読み終わると、
嵐が去った後のような虚脱感に襲われた覚えがあります。
しかも、近くの似たような山中での採蜜に同行する事もあって
行くたびに、本当にあった事件なのだとしみじみ感じてしまいます。
三毛別の写真。
「ひぐま事件現場周辺には熊が出没するから食べ物は供えるな」
との看板が。
くまの像もあります、でかいーーー 家の中。
向こう側の光が見えますー!
吉村さんの表現を借りれば「羆は叢にでも分け入るように」
簡単に家に入ってこられます。
そして周辺の木には熊の爪痕が・・・。
さて、私は吉村昭さんのファンなのですが、
最初の一冊は「蜜蜂乱舞」という養蜂家が主人公の小説です。
(写真はAmazonから拝借)
私が養蜂に関わっていると知った大学の恩師に教えてもらったのです。
吉村昭さんは緻密な取材に基づいて小説を書くことで有名ですが、
本当に入念に取材をされたのだと、
隅っこですが同じ業界に身を置いていて、とても実感した作品です。
養蜂家の暮らしぶりや考え方がよく分かり、養蜂業界が垣間見えます。
ちなみに、この小説のモデルになった養蜂家さんは
ナルセのおじいちゃんと同じ、鹿児島から北海道に転地していた方で、
おじいちゃんともお知り合いだったようですよ。
残念ながら今は絶版で電子書籍か古本でしか買えませんが
(私も古本で買いました)
養蜂に興味のある方はぜひ。
以下Amazonからあらすじを
東京の大学を中退して行方知れずになっていた長男が、女を連れて戻ってきた。彼女とは、4日前に結婚したという。養蜂一筋に生きてきた伊八郎の心は、喜びと憤りで大きく揺れた。4月、春の訪れと共に、一家は花を追って、日本列島を北上するトラックの旅に出るが…。旅先で遭遇する事件や人間なるがゆえの葛藤を、雄大精妙な自然界の摂理を背景に追求した力編。
国産はちみつ
ナルセ養蜂場
ときどきfacebookから飛んできて拝見しております。
吉村昭さんの「蜜蜂乱舞」は知らなかったので、読んでみたいと思います(絶版でも電子書籍で読めるのは有り難いですね)。
ところで、佐藤さとるさんから「コロボックル」の物語の続きを託された有川浩さんの「だれもが知ってる小さな国」(講談社)は読まれましたでしょうか。これも養蜂一家の話です。小学生から大人まで楽しめるファンタジーですが、有川さんも取材を良くされているようで、関係者も納得するディテールが読ませます。