十勝は6月というのに天気が悪く、寒い日が続いております。
本日も雨。
もう一週間くらい太陽を見ていません、ナルセ養蜂場のヨメです。
ですが、北海道各地には
本州から続々とミツバチたちがやって来ています。
夏は全国の養蜂家さんが北海道に集結。
遠くは鹿児島から、
ミツバチの巣をトラックに積んで、
北海道へ上陸します。
ミツバチの移動の話は何回かブログで書いておりますが。
(ミツバチの移動に記事はこちら→「ミツバチの移動」)
実は移動は大変なのです。
おろした巣箱の中にはこんなものが。
ああ、なんてかわいそうなんでしょう…
巣板の上にたくさんいるミツバチは死んでしまったものです。
移動中に巣箱の中の温度が上がりすぎて、
蒸殺してしまった巣箱。
全滅とまではいきませんが、かなりの数が死んでいます。
巣箱の下にできている水たまりは、実ははちみつ。
巣箱内の温度が上がりすぎ、巣が溶けてしまったため、
はちみつが漏れでてきました。
養蜂家にとってミツバチは財産。
はちみつを採るために、
いわば全財産を積んで移動するわけですが、
実はこの夏の移動こそ、
一番リスキーなイベント。
ミツバチを巣箱ごと移動させる時には、
当然巣箱の出入り口をふさぎ、
移動中ミツバチが外に出られないようにします。
北海道までの移動は中部地方からだと30時間くらい。
北海道でも北の方への移動だともっとかかります。
夜の間は良いのですが、
昼間、気温が上がってくると
巣箱の中の温度が上昇。
普段なら昼間は働き蜂が出て行って居ない時間、
全員が居るので巣箱の中は満員。
ミツバチたち自身の熱もあり、
巣箱の中の温度が上がり過ぎ、
仕舞いには巣も溶け出し、
巣のミツバチほとんどが蒸殺してしまう。
ということがたまに起こるのです。
↑熱くなって溶けてしまった巣
しかも、
ミツバチの数が多い、良い群ほど
蒸殺が起こりやすいジレンマがあります。
巣箱の中のミツバチの数を減らしておけば、
蒸殺のリスクは低くなります。
↑これも死んじゃった箱。
(たくさんの働き蜂が死んでも、女王は最後まで生きています)
しかし、花の咲く時期は限られていて、
採蜜シーズンは短い。
花の咲いている間は出来るだけ切れ目無く
はちみつを採りたい。
移動後すぐに採蜜するためには、
採蜜群としてある程度の蜂数に仕立てておく必要があります。
その分、巣箱に風が通るよう、網の部分を作ったり、
巣箱の中に隙間を作ったり。
トラックの上に氷を載せて走ったり、
途中ガソリンスタンドで水道を借りて
トラック全体に水を打ったり。
トラックが走っている間は風が入りますが、
止まると暑くなってしまうので、停車の休憩は最低限。
その昔はトラックに巣箱と家財道具一式を積んで、
家族と一緒に移動するも
東北付近でフェーン現象の熱風に襲われ、
トラックの巣箱ほとんどが蒸殺。
泣く泣く地元に帰った、
なんて話もありました。
↑もっと昔は貨車で移動。
今は天気予報も精度が上がり、
気温の高そうな日を避けられるようになりましたが、
大型のトラックを手配する場合は
やっぱり今日はやーめた、
なんて言えないですし。
とはいえ、涼しい早い時期の移動もダメです。
本州で花が咲いていて、はちみつが採れるのに、
花のない北海道に移動してしまっては意味が無い。
この時期は「そっち(北海道)の花の様子はどう?」
とやりとりしながら、
いつ頃移動するのか気をもみます。
そして全部の巣箱が無事に着くと
ホッと胸をなで下ろします。
「死ぬような(良い)蜂じゃないんじゃないのー?」
なんて冗談を言ったり。
実は命がけの移動なのでした。
だからこそ!
北海道ではたくさんはちみつが採れてほしいっ!
お天気よ!回復して~~~
国産はちみつ
ナルセ養蜂場