本日は移虫という作業のお話。
ミツバチの家族(群、コロニー)は一匹の女王蜂と
たくさんの働き蜂、少しの雄蜂で構成されています。

女王蜂が卵を産んで家族を増やし、
働き蜂や雄蜂の数はその時々で変わりますが、
決まりがひとつ。それは
「ひとつの家族に女王蜂は一匹だけ」
ということです。
言い換えれば、女王蜂が2匹いれば、
2家族になる、ということです。
つまり、ミツバチの家族を増やすには、
女王蜂を増やさないといけません。
というわけで、ミツバチを増やしたい時は、女王蜂を増やします。
王台(おうだい)と呼ばれる特殊な巣房に生み付けられた
幼虫が女王蜂になります。
普通の巣房は地面に対して水平に作られていますが、
王台は地面に対して垂直に、出口が下向きに作られます。

写真の右下にある、ピーナッツの殻がくっついたようなのが王台です。
王台にはローヤルゼリーが与えられるので、
王台に生み付けられた幼虫は、
ローヤルゼリーを食べて育ち、女王になります。
普通の部屋にうまれると、
ローヤルゼリーはもらえないので、
働き蜂になります。
全く同じ幼虫ですが生まれた場所によって運命がかわります。
ミツバチたちは下向きの部屋にはローヤルゼリーを
与えてくれますので、
女王蜂を沢山増やすには、この下向きの王台を沢山増やせばよいです。

写真のように、プラスチックの小さなコップ(王椀:おうわん)を
下向きにたくさん並べて、人工的に王台にします。
下向きの部屋で落っこちないのか心配ですが、
ローヤルゼリーの表面張力で落ちないらしいです。
頭に血は上らないので大丈夫です。
空のコップを巣の中に入れておいても、
いつここに卵を産んでくれるか分かりませんから、
このコップの中に、生まれたての幼虫を入れておきます。
そうすると、幼虫のいる下向きの部屋には
働き蜂たちがローヤルゼリーを入れてくれるので、
女王蜂をつくることができるのです!
そして、その幼虫を人工王台に移動させる作業を移虫(いちゅう)といいます。
まず移虫に適した幼虫を巣の中から探します。
幼虫の写真が載せますので、
そういうのダメな人は要注意!

これがミツバチの巣です。
よーくみると、ひとつひとつの部屋に白い幼虫が入っているのが分かります。
でもずーっと見てると気持ち悪いです。
写真の真ん中より少し左下のあたりは
かなり大きい幼虫で、
部屋いっぱいに丸くなってます。
もう少ししたら、2枚目の写真のように入り口にフタがされて、サナギになります。
移虫に適しているのは、
卵から孵って2,3日くらいの小さなもの。
でっかい幼虫がいる右上あたりの部屋に、
ちいさーいCが入ってるの、見えるでしょうか?

緑でなぞって見ました。
これくらいのサイズを見つけます。
ちなみに、緑でなぞってないのは大きすぎと判断したものです。
これを、すくって、人工王台に移動させます。

みえますかー?

これですー↑

なかなか、目が疲れます。
小さな幼虫はとっても傷つきやすいので、
傷つけないようにそっと、そっと。
意外に繊細な作業の得意な三代目です。

移虫ができたら、巣箱に戻して、
あとはミツバチに預けます。
女王蜂に育ててくれよー。
きっかり10日後、
女王達が羽化する直前に今度はいよいよ割り出し(分けだし)
という作業があります!
国産はちみつ
ナルセ養蜂場